年齢によって、虫歯のできやすいところには特徴があります。 ・1~2歳にかけては、上の前歯 ・2~3歳は、奥歯の噛み合わせの溝 ・4歳頃は、一番奥とその手前の奥歯の接している部分 ・6歳前後では、萌えたばかりの奥歯(6歳臼歯)の溝
もちろん個人差はありますが、乳歯の虫歯の進行の早さは驚くほどなので、 永久歯に全部萌え揃うまで、定期健診を心掛けましょう。 |
哺乳瓶の長期使用によって起こるムシ歯の早期発見哺乳瓶にミルク・果汁・乳酸飲料など虫歯誘発性飲料を入れて長時間しゃぶらせたままにしておいたり、そのまま就寝させてしまうことによって、上顎の乳歯の前歯の周辺にその飲料が溜まった状態となり、飲料水中に歯を浸した状態と同じになってしまいます。 このような状態では容易に虫歯が発生しやすくなり、急速に広がってしまうことになります。 これを「哺乳瓶ムシ歯」といいます。徴候が現れた時は、早期に「抑制処置」や「治療」を行うことが大切です。 最初の徴候は、歯の表面での白墨様の変化です。 これは脱灰といって、酸によって歯牙表層のエナメル質が溶解する現象です。白濁が少しでも認められましたら、歯科医師にご相談ください。 一番の予防対策は、虫歯誘発性飲料を哺乳瓶で与えるのを避けることです。特に、就寝前には、甘いものではなくお茶やお水などを飲む習慣にすることが大事です。 スポーツドリンクの習慣的飲用は危険!・最近、お子さんにスポーツドリンクを与えるお母さんが増えていますが、これを長期にわたって習慣的に多量飲用すると、重症型の虫歯になる可能性が高くなると指摘されています。
・病気時などの水分補給として小児科医が勧めることもあるようですが、病気回復後までその飲用を習慣化させないようになさってください。
・スポーツドリンクの強い酸度と糖分により、急激に歯が溶かされてしまいます。 大人でも常飲していると虫歯が多発する原因になりますが、乳歯はそれ以上に虫歯になりやすいので気をつけてください。
・初期症状は哺乳瓶ムシ歯と同様です。歯の表面に白濁が認められましたら、抑制処置や治療を受けられることをお勧めします。 長期の指しゃぶりと不正咬合指しゃぶりが4歳くらいまでに自然と治る場合には、歯科的問題はほとんど生じないのですが、長期間継続すると、歯列や顎骨に影響を及ぼし開口が生じてしまいます。 開口とは、歯を噛み合わせた時に、数歯にわたって上下の歯牙の間に隙間があり、前歯同士が噛み合っていない状態です。
指しゃぶりの原因は、小児の心理的障害に基ずく場合も多いので、強制的な手段ではなく、小児にその害をわかりやすく充分に理解させ、適度な運動などによって関心を他に集中させたりすることによって、小児自身が習癖への興味を失うような方法が推奨されています。 それは、強制的な手段で一時的に効果があったとしても、原因である心理的障害が取り除かれない限り、再発するか、別の習癖を作り出してしまう恐れがあるからです。 |
まず、虫歯を治療する目的とは何でしょうか? 普通、みなさんは「痛いから」もしくは「かめない」から治療を受けられるのだと思います。 もちろん、それは決して誤った認識ではないのですが、小児歯科診療の場合には、それらに加えて「歯並びや後続永久歯への悪影響を防ぐため」に行います。 乳歯の虫歯は、 永久歯に比べ進行がとても早いのが特徴です。
神経に達するのがとても早いので歯が溶けてぼろぼろになってしまったり、歯と歯の間に虫歯ができて隙間が開いたままにしておくと、歯が移動してしまい、永久歯のは萌えてくるスペースが無くなってしまいます。このような状態で歯が萌えてしまうと、歯並びや噛み合わせに悪い影響を与えてしまいます。
虫歯で乳歯を早い時期に抜き、何の処置も行わなかったケースにも起こります。 こういうケースでは、後続永久歯が萌えてくるまでの間、無くなってしまった乳歯のあったスペースを確保するための装置、「保隙装置(ほげきそうち)」を入れる必要がでてきます。
また、虫歯だらけのお口の中に永久歯が萌えてくると、せっかく萌えてきた永久歯も、すぐに虫歯になってしまう確率が高くなります。 「乳歯は萌え変わるから、虫歯の治療は必要ない」わけではありません。 顎や関節、そして、体の成長にも、食べ物をしっかり噛めるということが、お子さんの将来を考えると必要不可欠なものなのです。 虫歯にならないための予防、虫歯になってからの適切な処置が重要なのです。 |
フッ素フッ素は歯の表面のエナメル質を丈夫にし、酸に対して抵抗力を高めます。また、虫歯の働きを抑制し、歯垢の沈着をコントロールすると言われています。
ご自宅で、フッ素入りの物をお使いになっている方でも、やはり年に数回は、検診も兼ねて、来院されると良いと思います。 |
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シーラント予防填塞(よぼうてんそく)といいます。 臼歯には、溝がたくさんあるので歯垢や食べカスが溝にたまりやすく、萌えてきたばかりの6歳臼歯の溝は、細くて深いというのが、虫歯になりやすい原因の1つでもあります。 そこで、虫歯になりそうな溝をまだ健康なうちに埋めてしまい、虫歯にかかりにくくしてしまおう、というのがシーラントです。 ただし、シーラントは、虫歯治療ではなく、あくまでも予防処置です。歯を削らずに溝を埋めるだけですので、取れてしまうこともあります。定期的に医院でチェックすることをお勧めします。 |
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歯並びや噛み合わせが悪いと、顎の成長に大きな影響を与えてしまいます。それにともなって、顔貌の成長にも大きく関係してくることになります。
永久歯に萌えかわる時に、噛み合わせが自然に改善される場合もありますが、悪い噛み合わせで成長するということは、他の骨の成長もその噛み合わせに影響されているということになります。適切な時期に治療をするということは、小児が本来持っている自然に治る力を引き出すことにもつながります。歯並びだけでなく、顔の形をきれいにするということを考えると、早く噛み合わせを直した方が、有利な場合が多いのです。
咬合誘導(こうごうゆうどう)通常、上の歯は、下の歯に覆いかぶさるように噛み合っていますが、下の歯が上の歯の前に出た形で噛み合うケースがあります。「受け口(反対咬合)」や「交差咬合」などがあり、そのままにしておくと、上顎と下顎の成長がアンバランスになってしまいます。 そこで、3歳くらいから医院で様子を見ていくことをお勧めします。また、歯並びが悪い場合については、永久歯がほぼそろう12歳(小学校高学年から中学)頃から、矯正を始めるという考え方もあります。 ただし、その場合は、抜歯の必要性が出てくることが多いので、前歯が萌えてくる時期(大体6歳くらい)から矯正を開始すると、ほとんどの場合、抜歯をしなくてもきれいな歯並びにすることが可能です。 その場合、費用や時間もあまりかからないことが多いので、早めに医院にご相談されることをお勧めします。 |
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いろいろな癖の弊害指しゃぶりや、舌を前歯に挟む癖があるお子さんも、歯並びが悪くなる可能性がとても高いと考えられています。 こういった癖は、「開口(かいこう)」という症状につながりやすく、開口になってしまうと、発音や、顔貌に大きく関係してきます。 開口とは、上と下の前歯に隙間が開いてしまい、前歯同士で噛み合うことができなくなってしまう噛み合わせのことです。 大きくなってから直そうとしても、開口の場合には、きれいな噛み合わせに直すことがかなり困難になってしまいます。4歳くらいまでに癖が治れば、自然に治ることもありますが、癖がなかなか治らない場合や、症状が強く出てしまっている場合は、やはり矯正治療を始めることをお勧めします。 |