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レントゲン写真のお話・2


レントゲン写真のお話・1

レントゲン写真を撮る理由

X線を使うわけ

X線の胎児へのリスク

ちょこっとマメ知識 Gy(グレイ)って何?

医療被曝の確率的影響

検査で受ける放射線の量
レントゲン写真のお話・2

 X線とはどんなものなのでしょう?

自然放射線(能)

放射線が細胞に影響を及ぼす仕組み

胎児期の被爆の影響
レントゲンのお話・3
ちょこっとマメ知識・色々な検査の種類
X線を使う検査法
CT
マンモグラフィ
核医学検査(RI検査)
IVR
X線を使わない検査法
MRI(5/12


X線とはどんなものなのでしょう?
X線がどんなものなのか、知っているようで知らなかったりしますよね。

X線は、光(可視光)の仲間なのだそうです。
目に見える光の仲間ということになります。
光の中でも「電磁波」と呼ばれるものの1つです。
でも、レントゲン写真を撮る時に何か見えたことなんて無かった、
とおっしゃる方ばかりだと思います。
それは、目に見える光の波長よりもかなり短いためです。

可視光の波長は、0.00005cmくらいですが、
X線はというと、0.0000001cmくらい。
人間の目には、こんなに短い波長の光は見えないのです。

X線がレントゲン写真に使われる理由は、このあたりにあります。
光は、波長が短いほど光自体の持つエネルギーが高くなる特徴があるそうです。
可視光に比べて、1000倍から10000倍ものエネルギーを持つX線は、
可視光が貫通できないもの(人体など)でも貫通できる為に、
レントゲン写真などに使用されているというわけです。
自然放射線(能)
放射線(放射能)を私達は知らないうちに浴びていたりするようです。
それは、人間が使ったり作り出したりする放射線ではなく、
自然界にもともと存在する放射線なのです。
それは「自然放射線(能)」と呼ばれているものです。
これには、宇宙線天然放射性核種というものに分けられます。

宇宙線というのは、
地球外の空間から地球大気中へ侵入する高エネルギー放射線(一次宇宙線)と、
一次宇宙線が大気中の原子核と相互作用を起こすことによって生ずる
二次粒子や電磁波(二次宇宙線)とに分けられます。

一次宇宙線の大部分が太陽系外から太陽系に侵入してくるそうです。
一次宇宙線粒子は、地球に入射するときに地球磁場の影響を受けるので
高緯度ほど宇宙線強度が高くなるそうです。
二次宇宙線は、大気中に侵入した一次放射線が、
大気中の原子核と種々の反応を起こして、
新しい粒子や核種を生成したもののことです。

天然放射性核種というのは、
地球の誕生時から地殻に存在してきた「原始放射性核種」が主なものだそうです。
原始放射性核種の主なものは、カリウム・トリウム系列核種・ウラン系列核種の3種類です。
ウラン系列核種・トリウム系列核種はα線(ヘリウムの原子核)。β線(高速の電子)。γ線を放出します。
これらの核種は、地殻・岩石・土壌・海水・建材・人体など、
ほとんど全ての物質中にさまざまな濃度で含まれているそうです。

害はほとんど無いとはいえ、私達の周りは、放射線でいっぱいだったんですね…。
放射線が細胞に影響を及ぼす仕組み
電子は細胞の中を走る時、周囲の分子と相互反応をして、
そのエネルギーを失います。
失われたエネルギーは、近くにある原子や分子に吸収されます。
その結果、「励起」といって、電子の軌道が高エネルギーレベルに上昇すること、が起こったり、
イオン化(ラジカル形成)」という原子や分子からの電子の放出が起こったりします。

ここで問題なのが、
放射線によって原子がエネルギーを吸収した場合には、
どんな原子でも放出されてしまう、という点だそうです。
そうした原子や分子は「ラジカル(あるいはイオン)」と呼ばれて、
大変不安定な性質を持っていて、科学的に極めて反応性が高いそうです。

放射線による影響は、
細胞の70%を占める水分子に作用してラジカルが生じたせいで、
間接的に細胞構成分子を攻撃したり…細胞の構成分子に直接生じてしまうことだそうです。
このラジカルと、周囲の分子との間の反応は、極めて短時間に起こるので、
その結果、化学結合が切断されたり、
分子の「酸化」(酸素分子が付加される)が生じたりするそうです。
細胞にとって、これら反応の主になる影響というのが、
DNAの切断です。
生命にとって大変な出来事が起こってしまうわけですね。

DNAは2本の鎖からなっていることは、ご存知ですよね。
DNAは1本の鎖が切断されても、修復することができるのだそうです。
2本の鎖は、ポジとネガの関係なので、
傷のついていないほうの鎖をお手本に修復します。
2本とも切断されてしまうと、
お手本が無くなってしまうので、修復自体が難しくなり、
誤りを伴う確率が高くなってしまいます。
こうした誤りによって、
細胞の突然変異・染色体異常・細胞死が生じると考えられています。

では、放射線によって生じるDNAの損傷の特徴はどうでしょうか。
放射線被爆後に、生き残った細胞に見られる主たる傷害は、
DNAの欠失だそうです。
DNAが中抜けしてしまうということですよね。
怖いですよね。
この欠失には、2種類あり、
「大欠失」といって、
1本のDNA鎖に、離れて生じた2ヶ所の2本鎖切断(4個の切断端)の時、
修復する再に、間違って、最も外側の橋同士がくっついてしまい、
中間部分が失われてしまう場合。
「小欠失」は、1ヶ所の2本鎖切断を修復する再に、
2ヶ所の切断端を酵素で消化してつなぎやすい形にする時に、
部分的にDNAが失われる場合とがあります。

X線やガンマ線は、細胞にほぼ均一に障害を作るのに対して、
中性子線や、アルファ線は、細胞の局所に集中して傷害を作るそうです。
集中するということは、DNA鎖を近い場所で切断していまう確率が高まるということになるので、
中性子線やアルファ線のほうが、X線やガンマ線よりも
細胞の修復が難しいということに繋がってしまいます。

胎児期の被爆の影響
身近なところに放射線があふれていたり、
医療の検査でも放射線使うことが多かったり…と、
思ったよりも放射線に触れる機会が多いのかもしれない…とちょっとびっくりしてしまいますよね。
特に、お腹に赤ちゃんのいるお母さんが一番心配してしまうかもしれませんよね。
基本的には心配することは無さそうなのですが、やっぱり気になるだろうなぁ…と思いました。
そこで、簡単にですが、胎児に放射線がどのように影響するかを調べてみました。

胚死亡
着床前期(受精〜9日)に被爆した場合には、
1・胚が死亡して、本人が自覚すること無しに流産する。
2・発育遅延や奇形を生じることなく、正常な新生児が生まれる。
  というのも、診断用のX線の場合、ほとんどが0.1Gy以下なので、
  着床期にこのような検査を受けても胚死亡率の増加は予測できないというのがあります。

奇形
着床後の早期、特に各種器官の形成が起きている時期(7週以内位)に被爆すると、
線量にもよりますが、新生児奇形の生まれてくる可能性があります。

ヒトで放射線による明確な奇形の発生は、
原爆被爆による「小頭症」を以外は知られていません。

発育遅延にかんしては、放射線が妊娠の大部分にわたって影響を及ぼすということは、
当然考えられることなのですが、発生初期では、その期間が短いということもあり、
妊娠中期(60〜140日)の頃に同じ線量を被爆した時ほどの成長の遅れは見られないそうです。

神経系の異常
ヒトの精神遅滞(知恵遅れ)に関しては、早期形態形成期ではリスクは低いそうですが、
0.5〜1.5Gyを妊娠18〜30日に被爆すると奇形を生ずることが原爆データで示されてます。
ただし、、このような奇形は、0.2Gy以下では起こらないようなので、
通常の検査の範囲ならば大丈夫なようです。

重度精神遅滞が発生する頻度は妊娠8〜15週令に被爆した場合が最もリスクが高いそうです。
しきい値の下限は0.1〜0.2Gyにあるようです。
16〜25週被爆した場合、しきい値の下限は約0.2Gyあたりのようです。

発ガン
出生前に何らかの理由で放射能被爆を受けた子供のガンは、
診断用X線被爆を受けた子供(5歳以下)のリスクが高まるという結果が出ているそうです。
しかし、胎児の被爆線量は、5〜50mGyと低く、
生物学的には、この血度の線量による有意性をし示すことは難しいようで、
実際、有意差が無いというデータもいくつかあるそうです。
体内被曝を受けた原爆被爆生存者の40年以上の追跡データでは、
ガンによる死亡率が増加しているそうですが、
成人のガンのリスクが出生前被爆によって増加するという結論には、
現時点ではまだ至っていないそうです。

ちなみに、色々な問題を起こす可能性のある被爆線量になるには、
胚(胎児になる前)の時期の被爆として考えると
胸部撮影・25000枚
腹部撮影・300枚
腰椎撮影・150枚
胃透視・4時間      相当になるそうです。

色々な検査時に受ける胎児の被爆線量は以下の表のとおりです。
X線検査項目 平均的な線量(mGy)
頭部CT検査 0.005以下
胸部CT検査 0.006以下
腹部CT検査 8.0
骨盤CT検査 25.0〜40
胸部単純撮影 0.01以下
腰椎単純撮影 1.7
(ICRP Pub.84、2000年より)
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