歯がいつ頃から出来始めるか、ご存知ですか? どんな順番で大人の歯に萌え変わったか 覚えていますか? 今回は、歯の出来る順番や萌えてくる順番の お話をしてみようと思います。 ※萌えるは、「はえる」と読みます。 「歯がはえる」という時には、 この漢字を使います。 |
歯の名前 歯の発育の様子 1.成長期 2.骨内萌出期 3.萌出期 4.咬耗期 5.吸収期 歯の成長時期 歯の萌出順序 ・乳歯の萌出順序 ・永久歯の萌出順序 歯の萌える順番が変わってきた? 歯の発育図 ・乳幼児期 ・幼児前期 ・幼児後期 ・思春期および成人 歯の本数が少なくなってきているって本当?(4/14 ) |
歯の名前 |
歯にはそれぞれ名前がついているのはご存知ですよね。 1本の歯にはいくつも呼び名があったりもします。 そこで、まず最初に歯の名前をご説明することにします。 歯の名前は、乳歯と永久歯では呼び方が異なります。 |
乳 歯 | 乳歯は一般的にはアルファベットで呼ばれています。 A:中切歯 B:側切歯 C:犬歯 D:第一乳臼歯 E:第二乳臼歯 の5種類。 全部で20本です。 乳歯の間は、奥歯(臼歯)が2本ずつしかありません。 |
永久歯 | 永久歯は数字で呼ばれています。 1番:中切歯 2番:側切歯 3番:犬歯 4番:第一小臼歯 5番:第二小臼歯 6番:第一大臼歯 7番:第二大臼歯 8番:第三大臼歯 の8種類。 全部で32本です。 8番をいれなければ28本になります。 |
「前歯」と言うと、普通は中切歯(ちゅうせっし)・側切歯(そくせっし)・犬歯のことです。 奥歯は小臼歯〜大臼歯。 中切歯・側切歯は「門歯(もんし)」とも呼ばれることもあります。 犬歯は「糸切り歯」と良く言いますよね。 永久歯の8番(第三大臼歯)は「親知らず」のことです。 「智歯(ちし)」とも言います。「知歯」と表記することもあるようですね。 |
歯の発育の様子 | ||||||||||||||
歯の発育は、出生前から始まっています。 顎の中で色々な段階を経て、お口の中に萌えてくるのです。 成長の過程は、乳歯も永久歯もほぼ同じです。 |
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1:成長期 胎生(妊娠)約6週で歯の発生が開始されます。 胎生は「たいせい」と読みます。 最初、歯が出てくる所の歯肉の上皮が硬くなってきて、歯堤というのを作ります。 その歯堤の中で、近くの細胞よりも早い速度で増殖を始める細胞が出てきます。 その細胞は、乳歯の卵のようなものである「歯胚(しはい)」というものを作ります。 それが「歯」の始まりなのです。 歯冠 (歯ぐきから出ている歯の部分) がほぼ形作られるのが、この成長期です。
乳歯がある場所に出てくる永久歯の前歯〜小臼歯は、 それぞれ先行している乳歯の歯胚に付随して発育していくのです。 |
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2:骨内萌出期(こつないほうしゅつき) 形成された歯がお口の中に出てこようと準備している時期のことで、 少しずつ顎の骨からお口の中に向かって移動し始めるのです。
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3:萌出期(ほうしゅつき) 歯が萌えてくる時期のことです。 この、お口の中に歯が出てくる萌出期は「臨床的な萌出」と言われています。
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4:咬耗期(こうもうき) 歯の磨耗が起こる時期です。 物を食べたりという、歯を咬み合わせることを、 「咬合 (こうごう)」といいます。 この咬合によって、歯が磨り減っていきます。 普通に生活しているだけでも、歯は、少しずつ磨耗していくものなのです。
歯は生涯を通じて萌出運運動を続けていることが分かっています。 萌出運動は、つまり、歯が「出てこよう」とし続けているということですね。 上の歯と下の歯がきちんと咬み合っていれば、伸び続けることはありません。 咬み合せることで磨り減ったはずの歯でも、上下でちゃんと咬みあっているのは、 こういった秘密があったのです。 |
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5:吸収期 乳歯だけにある時期です。 永久歯と入れ替わるために、「破骨細胞(はこつさいぼう)」という細胞が現れます。 これは文字通り、骨を壊す細胞です。 乳歯の根のところを吸収していき、永久歯が出てこられるようにするのです。 だから乳歯が抜けたときは、歯の頭の部分(歯冠)しか残っていないのです。 |
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歯の成長時期 (2/25 少し追加) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
歯の発育の時期は、それぞれの歯によって違います。 早く出てくる歯はやはり早くに作り始められますし、 永久歯と乳歯とでも、当然、それぞれの成長の時期も違ってきます。 乳歯は胎生(妊娠)6週目から作り始められます。 永久歯でも前歯と、6歳臼歯とも呼ばれる第一大臼歯(6番)は、 まだお腹の中にいる頃から作られはじめています。 乳歯
永久歯
※歯の成長時期というのは、歯が萌えてくる順番ではありません。 ※歯胚(しはい)完成というのは、「成長期」の中の「開始期」の頃です。 ※歯根完成というのは、その歯が完成する時期のことです。 完全に歯が出てきたから歯が完成した、というわけではないのです。 |
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歯の萌える順番が変わってきた? |
近年、永久歯の萌える順番に変化が現れてきたようです。 どの歯の順番が変わってきたのかといいますと、 下顎の2番(中切歯)と下顎の6番(第一大臼歯)です。 通常、6番のあとに2番が萌えてくるのですが、 先に2番が萌えてきてしまうケースが増えてきているというのです。 歯列不正の原因にもなると考えられているようなのが気になる所です。 どうしてかは、まだ研究中のようですが、 大臼歯の萌出は生理的年齢(体の成長の度合い)に関係しているという説があるようです。 昔よりも体の発育が早くなっている、ということに関係しているのかもしれませんね。 |
歯の発育図 | |||||||||||
大体の歯の萌える順番などご説明してきましたが、 数字ばかりでは、顎の中でどのように歯が育っているか、 なかなかイメージがわきませんよね。 ここでは、歯がどんな風に育つのかが分かる図をご紹介することにします。 色の薄い方が乳歯。 少し色が濃い方が永久歯です。 |
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乳幼児期
歯が無いように見えても、 骨の中では乳歯だけでなく、永久歯もすでに作り始められています。 |
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幼児前期(学齢前期)
乳歯が全部出てきます。 前歯は、もうこの時期には永久歯が出てこられるようにと、 根っこの吸収が始まります。 6歳臼歯(6番)の歯が出てくるのもこの頃です。 早いお子様では、前歯が出てくることもあります。 |
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幼児後期(学齢期)
この時期は、乳歯と永久歯が混じっているお口の中になります。 前歯がどんどん大人の歯に変わっていきます。 出てきたばかりの永久歯は、とてもムシ歯に弱いので「ご注意!」です。 前歯が出てくる時期は「咬合誘導」を始めるお子様が多い時期でもあります。 成長期なので、「咬合誘導」だけで歯並びを綺麗にできる可能性が高いからです。 永久歯が揃ってしまうと「矯正」をしなければ、 大抵の場合歯並びを綺麗にすることができなくなってきます。 歯並びを気にされている場合には、 このあたりの時期からの検診も大切と言えるかもしれませんね。 |
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思春期及び成人
15歳あたりで、永久歯列が完成します。 21歳・35歳の2つの図は、あくまでも参考としてご覧になってください。 永久歯が揃った後は、個人差がとても大きいのです。 21歳の図では、親知らずが出てきている絵になっています。 35歳の図では、歯が咬耗している様子が描かれています。 咬耗とは、「歯の発育の様子」のところでもご説明していますが、 歯が磨り減っていくことです。 そして、良く見比べていただくと、顎の骨の位置が微妙に違っています。 35歳の方が、顎の骨の位置が低くなっているのがお分かりになりますか? 年齢や、噛み合せ、歯周炎などの原因によって、 歯を支えている顎の骨は、年々下がっていってしまうのです。 少し程度ならば、気にすることは無いのですが、 骨を下げている原因が「歯周病」だった場合は、要注意です。 いわゆる「歯槽膿漏」に知らないうちに突入していることがあるからです。 歯ぐきが腫れていると気がつかないことがありますので、 やっぱり、定期健診が大切・・・ということになるのです。 |
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歯の本数が少なくなってきているって本当?(4/14) |
歯の本数が、そのうち少なくなってくる・・・ そんなことを聞いたことはありませんか? 「将来的に、人の歯の本数が減ってくるのではないか」 という説があるのです。 宇宙人のような小さな顎と大きな頭(脳)で身長が低くなる・・・ という予測の人形を、NHKの番組で見た事があります。 カップヌードルのCMキャラクター「U.T」。 あの宇宙人のイメージが、一番近いでしょうか。 ちなみに、どの歯が無くなってしまうのかというと、 ・8番(親知らず) ・5番(第二小臼歯) ・2番(側切歯) の歯が将来的に無くなってくるだろうと言われています。 大臼歯のどちらかの歯(7番かもしれないです)も無くなる予定の歯だと、聞いたことがあるような・・・ そんな記憶もあるのですが、はっきりと思い出せません。(ごめんなさい) 大臼歯も計算に入れるとすると…最高で4本。 上下全部入れると16本もの歯が無くなるということになりますね! 今の約半分の歯の本数になるということです。あらためて、びっくりです。 今でも、親知らずが無い人だけでなく、 下顎の5番(第二小臼歯)が生まれつき無い患者様が増えてきているように思います。 2番は上顎が無いケースが多いようです。 反対に「過剰歯」といって、基本の8本以外にも歯がある人もいらっしゃいます。 場所は、上の前歯の真ん中の場所(正中)と、 親知らずの奥(9番にあたる位置ですね)がほとんどですが、 違う場所に埋まっていることもあります。 過剰歯は豆粒のようなものから、大きくても乳歯サイズがほとんどで、 骨の中に埋まって出てこられないケースが多いと思います。 実際に役には立たない歯ばかりというのが、残念ですよね。 それでも、やはり、永久歯が無い患者様が少しずつ増えてきているのは本当です。 お子様の顎も小さくなってきている傾向にある気がします。 そして、歯の横幅が大きくなってきているのだそうです。 徐々に歯の数が少なくなる方向に向かっている、ということの現れのようです。 これは、進化しているのでしょうか。それとも、退化なのでしょうか? あと1億年くらいすると、今とは違う姿形をした「地球人」が地球の上を歩いているのかもしれませんね。 |